妊娠と判明したものの、母体あるいは経済的理由によっては人工妊娠中絶術を選択せざるを得ない場合があります。

その際、母体保護法の趣旨に合致していれば人工妊娠中絶術を行うことができます。


1.人工妊娠中絶術を行うことが可能な時期
人工妊娠中絶術を行うことが可能な期間は、母体保護法により妊娠21週6日までと定められております。


2.妊娠週数の数え方
最終月経が開始した日を0日と規定し、0〜6日までを0週、7〜13日までを1週というように数えていきます。
しかし、この方法では月経不順あるいは排卵日が不明の患者様が含まれている以上、見かけ上の妊娠週数と実際の妊娠週数との間に多少のズレが生じることは当然です。
このような誤差を極力少なくするため、当院では術前の患者様には全例超音波検査を行い、正確な妊娠週数を決定した上で人工妊娠中絶術を行っております。


3.手術に適した時期
人工妊娠中絶術を安全にしかも確実に行う時期としては、妊娠6週から9週頃までが適していますので、当院ではこの時期に人工妊娠中絶術を行うことをお勧めしております。
妊娠4〜5週では、子宮内容物が少なく、しかも各々が極めて小さいため、手術により完全に除去できたか否かを判断することが困難です。
一方、10週〜11週では、子宮頚管拡張に長時間を必要とし、その上、子宮内容物が量的に多いため、手術による出血が多くなる傾向があります。
いずれにしても人工妊娠中絶術は、基本的に日帰り手術ですが、当院ではより安全に手術を行うための前処置として、手術前日にラミナリアかダイラパンなどを用いて子宮頚管拡張術を行っております。

妊娠12〜21週は妊娠中期中絶となります。→妊娠中期中絶の項へ


4.手術のスケジュール

a.手術前の諸検査に異常がないことを確認した後、患者様とご相談の上で手術日を決定します。
その時手術同意書をお渡ししますので、必要事項を記入の上、手術前日の診察時にご持参ください。

b.手術前日は午後10時から絶飲食です。

.手術当日は午前8時20分までに来院してください。
バイタルサインのチェック、喘息及びアレルギーの有無を再確認いたします。
問題がなければ血管確保のため点滴静注を行い、その後静脈麻酔剤を投与します。
使用する静脈麻酔剤は基本的に催眠導入剤ですので、多少の痛みを感じる方もおられます。
その場合は鎮痛剤を追加投与することがあります。

d.人工妊娠中絶手術に要する時間は、熟練した医師が行いますので5分以内で終了いたします。
麻酔が覚めるまでは病室で休憩していただきます。
麻酔が覚醒したらお飲み物と軽食を召し上がっていただき、誤飲がないことを確認します。
一般的にほとんどの方が午前中に退院可能です。

e.手術翌日と1週間後には必ず診察を受けていただきます。


5.費用
人工妊娠中絶手術に要する費用は病院までお問い合わせ下さい。


6.手術に伴う危険性

a.感染
手術は無菌的に行っておりますが、感染予防のために経口抗菌薬を術後3〜7日間投与します。
そのため、当院では人工妊娠中絶術後の感染例はほとんどありません。
しかし感染は一旦発症すると重篤化することがありますので、油断は禁物です。

b.子宮内容物の遺残
術後の出血は1週間以内に収まります。
しかし子宮内に組織や凝血が遺残していると子宮収縮不良を起こし、出血が1週間以上続くことがあります。
この場合は再手術を行い、遺残物を除去することが必要となります。

c.子宮穿孔
妊娠子宮は非常に柔らかいため、子宮穿孔をおこすことが稀にあります。
大部分は子宮収縮剤と抗菌薬の投与のみで治癒しますが、場合によっては開腹手術が必要になることもあります。





妊娠中期中絶

妊娠中期中絶とは、妊娠12〜21週までに行う人工妊娠中絶術のことを指します。

1.方法
妊娠中期中絶の方法としては、入院の上ラミナリア、ダイラパンを用いて子宮頚管拡張術を先ず行います。
その翌日ラミナリアを交換し、プロスタグランディンE1膣坐薬を定期的に膣内に挿入し、人工的に陣痛を誘発します。
その後は通常の分娩と同じ形をとります。
一般的に分娩は2〜3日で終了しますが、その際子宮内容物が一部遺残することがあります。
中でも胎盤が遺残することが最も多く、そのため分娩後に子宮内容除去術を行うことが一般的です。

2.危険性
以前に子宮に外科的処置(帝王切開術、筋腫核出術)を受けたことのある症例では、子宮破裂を起こす危険性が増加します。
一旦子宮破裂が起これば、手術を行い子宮を摘出することが必要です。
それ以外にも、処置に長時間を要し、出血多量を起こすこともあります。





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